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工房理念と方針 〜 ごあいさつ 〜

「楽器を手にしている すべての人が、

音楽を純粋に楽しめること」


 管楽器修理工房・リペア師の目的は、文字通り楽器を修理することではないと思っております。“楽器をリペアすること” というより、“演奏者の快適な環境のリペア”だと思っております。そのため、私が直接リペアをすることだけではなく、楽器の手入れ方法のご提案や自分でも行える調整方法をお伝えすることなど、演奏者の皆様のお役に立てるは、何でも行なっていこうと思っております。

 一言に「管楽器修理」と言っても、実際の修理方法は1つではありません。ひとつの楽器、ひとつの調整に関しても、メーカーや流派、リペア師によって考え方や方法が全く違うのも事実です。どの方法にもメリットやデメリットがあり、何が正しいのかと言うものはないと思っております。

 大型の楽器店や修理工房には、それによって良い点がたくさんあります。

例えば修理箇所や工程によって作業を専門家することによって全体のクオリティを上げること、多くの修理を受け入れることができることなどができます。

一方、当アトリエのようなフリーの個人工房はたったひとりで行なっているため、数多くの修理を受け入れたり、高額の特殊リペア工具を多く取り揃えることも困難です。しかし、リペア師が直接お客様とコミュニケーションをとりながら、ご要望に合った調整をさせていただき、またリペア師側もお客様の声を直接聞くことができます。機械ではなく人間の仕事のため、時にはうまくいかないこともあり、お時間をいただき大変申し訳ない思いをすることもありますが、直接喜びのお言葉をいただくことは、私もこの上ない喜びです。

 楽器の本当の状態は、演奏者にはわかりません。プロのリペア師にしか分からない領域のことも多くあるため、「楽器の調整をどの水準まで行なうか」という最終判断は、その調整を行う各々のリペア師に託されています。

この点はリペア業界の改善すべき点でもあり、今後ぜひ取り組みたい点でもあります。

また、日本の管楽器リペア師は国家資格等はありませんので、知識や技術、学歴の有無に関わらず自分がリペア師と名乗れば、それだけで職業になってしまう仕事です。

有名な専門学校やスクールを出たり優秀な先生に教えていただいたから技術が高いわけでもなく、楽器の演奏技術が高いからリペア技術が高いわけでもなく、だれかに公認してもらったから技術が高いわけでもありません。

 私もこの道を目指すと心から決めたのは、そのような現状があるということを知った時でした。プロとして現場に就いてからは、私自身の技術の足りなさ、思いと現実のギャップに落ち込むこともありました。お客様方にはご満足いただけても、今でも目指すべき所は遥か先にあると感じております。

しかし、「楽器の本当の状態」をまだ知っていない全国の大勢の楽器演奏者の方が、より良い楽器の状態で演奏されて純粋に音楽を楽しめるようになってもらいたい、という思いが日に日に強く大きくなりました。

 「どうすればもっと多くの演奏者の方がより良い音楽環境で活動できるのか」

個人工房として腕を上げることにひたすら努力する中、様々な改善を行なってきました。

とにかく経験と技術を磨くため、およそ3年に渡る何百本の楽器の無料調整。演奏現場での即興の修理、十分な工具がない現場での特殊な調整、志が同じ修理工房との技術交流や協力...。

 

 本当に当アトリエを必要とするお客様に対して、価値あるものを提供したいと思っております。個人工房のため、混み合っている場合など直接お受けできない場合は、他店の紹介やリペア面でのアドバイスをさせて頂く形でご協力させて頂ければ幸いです。皆様のご理解とご協力に感謝致します。

ご意見やご要望、ご指摘などがございましたら、何なりとお申し付け下さい。

音楽愛好家の皆様が、快適に音楽活動が出来ることを心よりお祈り申し上げます。

 

Atelier Rapport  服部 雅明  

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